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「国立衛生研」って安全なの? Q and A

米軍府中基地跡地(府中市浅間町)に国立医薬品食品衛生研究所(以下「国立衛生研」と言う)が移転・建設されようとしています。本年6月までに、府中市は米軍基地跡地全体の利用計画(グランドデザイン)を関東財務局に提出することになっています。その利用計画の中で、国立衛生研の位置・建物の大きさが決まり、2009年度中に工事着工、2013年度に移転が予定されています。
国立衛生研による地元住民への説明会は、2006年3月、及び本年3月に行なわれました。一方では、府中市による説明会は今に至るも、一度も行なわれていません。
住民説明会では、多くの疑問・不安が住民から出されましたが、国立衛生研の回答は、住民の疑問・不安を解消するものではありませんでした。
私たちは、その中から、いくつかの問題に絞って以下のようにまとめました。

Q1.P3施設は、国立衛生研が説明するように安全な施設でしょうか?
A1.P3施設は、バイオハザードの恐れがある危険な施設そのものです。

(1)WHOは「バイオ施設の立地はできるだけ公衆の集まる地域から離れた場所に立地されるべき」としています。これは、P4施設のことだけでなく、P3施設にも当てはまります。P3施設で扱っている病原体や遺伝子組み換え実験による新奇な生物が、施設の外にわずかでも漏れ出しても、自然界・人間に破壊的な影響を与えます(これをバイオハザードと言います)。
 ※P3、P4の「P」はフィジカルコンテイメント(Physical Containment=物理的封じ込め)の略。P1からレベルが上がることで危険性が増す。
(2)バイオ施設では、病原体を含む汚染された空気は、外界に強制排気されています。排気口には高性能フィルター(ヘパフィルター)が設置されているので、病原体を完全に捕捉される、と国立衛生研は説明しています。
しかし、このヘパフィルターは、病原体を殺菌する機能を持っているわけではありません。フィルターで、0.3ミクロン(1/1000mm)の粒子を99.97%捕捉する(100%ではない!)と言われています。
細菌(0.5~1ミクロン)は、捕捉することができても、細菌より小さなウイルス(0.02~0.3ミクロン)は、通過してしまい、外に漏れ出してしまいます。
(3)本来、P4施設で行なわなければならない病原体・ウイルスの遺伝子組み換え実験もP3施設で行なうことは技術的に可能です。閉ざされた実験室の中で何が行なわれているか、住民は知ることはできません。研究者の自主規制に任されています。法律による罰則もありません。

Q2.国立衛生研で扱うとされている「Q熱リケッチア」は空気感染の恐れはなく安全だ、と言っていますが?
A.「Q熱リケッチア」は、感染力が強く、生物兵器にも転用される恐るべき細菌です。

(1)「Q熱リケッチア」は、細菌をたった1個でも吸い込むと、感染・発病を起こす可能性のある感染力のきわめて強い病原体です。家畜や犬・猫のペットにも感染し、羊水やミルクなどから、人間にも感染します。動物の出産時に、感染動物に接触したり、その菌が含まれた糞の埃などを吸い込むことでも人間に感染します。
(2)世田谷の現研究所ではP3施設をつくったが実験は行なわず、国立感染研究所(新宿区)に出向き、P3実験を行なっているので、府中移転後、P3実験を行ないたい、と説明しています。
これは、P3施設で行なう「Q熱リケッチア」の実験がきわめて危険性の伴うことを示しているのではないでしょうか。
(3)実験室内で実験によって、濃縮された細菌は、通常の細菌の状態と異なり、空気感染を含む感染力がきわめて強まることが考えられます。実験室内から施設外に漏れ出し、飛散する恐れは「100%ない。絶対に安全だ」と言い切れるのでしょうか。
(4)アメリカで、「Q熱リケッチア」を生物兵器に転用する研究が長年行なわれてきました。バイオテロを想定したきわめて、軍事的な意味合いの強い実験・研究であり、国立衛生研が行う必要があるのか疑問です。 

Q3.「地震やテロでも安全。実験室が破壊されても微量の細菌がでるだけ」と国立衛生研は説明していますが?
A.テロに備えなければならない施設が住民にとって安全なわけはありません。

(1)国立衛生研がもし移転されると、府中市国民保護計画(2007年度策定)により、「生活等関連施設」に指定されるだろう、と府中市防災課は説明しています。この「生活等関連施設」とは、「テロに配慮しなければならない施設」(府中市防災課)である、と言われています。
テロの標的になる恐れがある施設であり、もしテロ攻撃がされた場合には、地域及び周辺住民に対して甚大な被害が及ぶということを想定している施設です。
しかし、国は「生活等関連施設」がどこであるかは全く非公開として、住民に対してその危険を知らせるどころか秘匿しているのです。
(2)国立衛生研もまた「テロ対策」のため、警備員による24時間警備を実施する、と説明しています。テロ攻撃がされた場合、P3実験室が破壊され、病原体が飛散し、実験動物が逃げ出す、放射性物質が拡散する事態が想定されます。「微量だから安全だ」というなら、そもそも厳重な管理やテロ警備も不要のはずです。国立衛生研の説明は全くの欺瞞です。
(3)米軍基地(通信施設)や航空自衛隊府中基地に隣接して建設されること自体がテロの危険性があると言えます。特に、航空自衛隊府中基地は、現在航空総隊司令部があり、横田基地に移転・統合された後も支援集団司令部(輸送に関する司令部)が残るきわめて中枢機能をもつ特殊な基地です。有事の際の自治体の役割を定めた「東京都国民保護計画」「府中市国民保護計画」から、今後、基地の存在にふまえた「避難実施要領のマスタープラン」作成が検討されている、と言われています。
テロの標的となる危険性が高い特殊な自衛隊基地に隣接して国立衛生研は建設されようとしているのです。
(4)昨年の新潟中越沖地震で、柏崎刈谷原発は、火災が発生、放射能漏れを引き起こし、安全性について重大な疑問を投げかけました。今に至るも操業は再開できていません。
「震度○○、マグニチュード○○までは絶対に安全」とよく言われます。しかし、過去の災害を見ても設計時の予想をはるかに超える地震や災害によって、常にその設計は再考を迫られてきました。
地震に100%安全だ、という設備や建築物は基本的にあり得ないのではないでしょうか。

Q4.反対しても移転は決まったことだから、どうにもならないのでは?
A.移転予定は2013年度。あと5年もあります。住民が反対に立ち上がれば計画の変更は全く可能です。

(1)国立衛生研の移転の根拠は、1988年の閣議決定を挙げています。しかし、閣議決定は絶対のものではありません。実際、国立感染研究所も一度筑波移転が閣議決定されていたにもかかわらず、感染研側の反対で、覆ったという事実があります。20年が経ち、当時と現在では全く府中市の環境も変わりました。
現在、ここに住む府中市民が20年前の閣議決定により一方的に不利益を押し付けられる理由はありません。
(2)国立衛生研移転に関する住民に対する説明は、2年前と今年3月の2回だけです。それも国立衛生研によるもので、府中市は全く住民に対して何の説明も行なっていません。そもそも、府中市は市民の生命・身体・財産に責任を有する自治体です。市が市民に何の説明責任も果たしていない以上、移転が正式に決まったものと受け取る必要はありません。府中市に対して、国立衛生研の移転計画の凍結を求めてただちに行動を起こしましょう。
(3)国立衛生研によると、移転・完成の予定は20013年度です。当初の予定は20012年度でした。国立衛生研がいくら移転を急いでも、さまざまな手続きが計画を遅らせています。
まだ、跡地利用計画全体のマスタープランが発表されていません。国立衛生研移転は跡地利用計画の一環であり、全体が決まらないことには国立衛生研移転計画だけが決まることはあり得ません。
また、今後、測量、土壌調査、解体工事など多くの問題があります。移転・完成まであと5年。住民が知恵を出し、行動を起こせば、移転計画の凍結・変更を実現することは十分可能です。
(4)「どうせ、反対しても国のやることだから仕方ない」とあきらめてませんか。危険なバイオ施設建設に対しては全国でさまざま住民運動を起き、多くの成果を勝ち取っています。
武蔵村山市では国立感染研分室のP4施設建設に対しては市議会が反対決議を上げ、今に至るも稼動実験を凍結させています。新宿の国立感染研移転に対する住民の反対運動では、移転そのものは裁判で敗訴したとは言え、P4施設稼動はストップさせました。
住民が反対の声を上げ、動き出さなければ、自治体も動きません。まして国の施設である国立衛生研に意は伝わらないでしょう。諦めていては何も変わりません。
まだ間に合います。危険なものには「いやだ」の声を上げ、反対の意思表示をし、行動を起こしましょう。地元の皆さんの意思表示が大切です。