「レポート1:出口和生」
[横浜市立本町小学校 URL http://www.honcho-es.naka.yokohama.jp/]
<タイトル>
オープンスペースとコンピュータ、そしてインターネット
〜子どもたちと創るホームページ〜
<所属>
横浜市立本町小学校(100校プロジェクト参加校)
昭和59年 オープンスペースを有する現校舎完成
平成元年 横浜市情報教育研究校コンピュータ導入
平成3年 学校としてのパソコン通信活用に着手
平成5年 全国小学校理科研究大会授業公開校
平成6年 100校プロジェクトAグループ選定
平成7年 全国小学校社会科研究協議会授業公開校
<講演者>
出口和生
昭和62年 横浜市小学校算数科パソコン活用委員会所属 現副委員長
平成2年 本町小学校着任 校内コンピュータ主任/情報教育担当
平成6年 パソコン通信PC-VAN内STS-SIGサブオペ就任
(株)日本IBMの協力で分散配置校内ネットワークの設置
平成7年 100校プロジェクト正担当
放送教育全国大会愛知大会協力
<学校紹介>
{情報化}
{個性化}
・児童の個をとらえ、個を生かすための先行研究
・多様な家庭環境に応じた児童指導
・流行への迎合・趣味や趣向の画一化の傾向
↓
*自他の個性を生かしながら創造的に生きる子ども
{国際化}
・学校視察・年間700人〜海外からも多数来校〜
・国際交流事業への参加〜世界都市会議参加者来校〜
・帰国児童・外国人児童・海外からの体験入学児童の増加
↓
*人権や環境問題を地球的視野から考えていく子ども
{地域化}
・美術館・国際会議場でのイベントへの参加
・お三の宮・野毛祭り・野毛大道芸への参加
・進む開発と自然の減少
↓
*地域や環境に主体的にかかわっていく子ども
{生活化}
・学習空間の拡充を図るための先行研究
・飼育栽培・異学年交流など豊かな体験の保障
・既製品への依存による創意工夫の意欲の低下
↓
*学習を生活に生かしていく子ども
序1.オープンスペースとコンピュータ
横浜市立本町小学校は、オープンスペースを有する学校の特徴を生かすべく、各学
年学習センター(多目的ホール)に情報メディア(図書・VTR・コンピュータ)を配置し
ている。授業中や休み時間に子どもたちも教師も自由に使う姿が見られる。この学習
環境によって、図書・VTR・コンピュータは子どもたちにとってさらに身近なものと
なり、個別学習の時間等、授業の中で積極的に活用できるようになってきている。こ
うした情報メディアの分散配置による活用の中から、情報の扱い方を学び、より深い
分析ができるようになると考えている。
コンピュータは、低学年の子どもたちには集中配置による活用の方が安心感を与え
、効果的であることが明らかになってきた。また、高学年では、分散配置したまま情
報を集約したり、離れた場所にいる友達に情報を発信したり受信したりすることがで
きれば、これまで以上に情報活用の力が育つと考えられ、分散配置ネットワークの設
置が望まれるようになってきた。
また、昨年度までの数々のコンピュータ活用実践、特にパソコン通信活用実践の中
から次ぎの二つのことを感じてきた。一つは、分散配置したままのコンピュータをネ
ットワークでつなぐことができれば、更に効果的な活用の可能性が広がるだろうとい
うことである。もう一つは、学校外の社会とのコミュニケーションが簡単にとれるシ
ステムができれば、授業での情報活用の方法が変わるだろうということである。そこ
で、コンピュータのマルチメディア化を進めるだけでなく、図書、校内資料等の情報
メディアの扱い方も再検討を行い、コンピュータとの連携を深めることと、コンピュ
ータ・ネットワークの実験に取り組むことを進めていくことにした。
序2.コンピュータ・ネットワーク
コンピュータ室を持つ学校であれば、教室内LANと呼ばれるネットワークを簡単に
組むことができ、校内データベースを構築することができる。しかし、横浜市立本町
小学校の場合、データベースを構築するには、学校中にネットワーク回線を張り巡ら
せなくてはならないことになる。また、ふれあいの機会を広げるために、学校外のコ
ンピュータとつなぐ回線も必要になってくる。
そうした状況の中で、平成6年夏に通産省/文部省から「インターネット接続環境提
供事業」いわゆる「100校プロジェクト」の募集が行われ、平成7年春より横浜市立本
町小学校はインターネットに接続された。
平成7年6月より本格的にこのインターネットに接続された横浜市立本町小学校のコ
ンピュータは、常に世界中のコンピュータネットワークとつながっているという状況
になった。すなわち、いつでも世界中の情報を収集することができるし、世界中に横
浜市立本町小学校の情報を発信することもできることになったのである。また、遠く
離れた土地の人々との交流が容易に行えるようにもなった。
インターネットの教育での活用は研究の途についたばかりである。横浜市立本町小
学校がインターネットに接続してから半年たち、授業での実践も増えてきた。これま
でになかった新たな活用方法が見えてきたところである。一般企業や公的機関では、
爆発的にインターネットが普及してきている。学校現場でも、インターネットをより
効果的に活用できる場面を研究していかなくてはならないだろう。
.インターネット接続そして不安定期(平成7年4月〜8月)
全国の小中高等学校100校にインターネット接続環境を提供するという通称「100校
プロジェクト」に選ばれたのは平成6年も暮れ。機材提供を受けたものは、64Kデジタ
ル専用線・DSU・ルータ・HUB・サーバマシン・クライアントマシンが各1台であった
。そして、納入業者により機材が搬入されたのが、翌平成7年の4月。その後しばらく
、NOCの手続きや本校サーバの設定が続き、結局インターネットに接続ができたのは
平成7年5月も下旬。それでも100校の中ではかなり早い時期の接続ということであっ
た。そして、6月に暫定版ではあるがホームページを立ち上げることもできたが、1学
期の間は結局インターネットを活用した実践もできず、システムの不安定さから今後
の方向性も闇の中といった感じであった。
この時期にスタートした実践に「教職員インターネット研修会」「児童インターネ
ットクラブ」がある。
学校内での協力体制つくりは、子どもと他教員を巻き込むことから
↓ ↓
大人のネットサーフィン体験会 子どもとともに創るホームページ
〜各種研修会でのネットサーフィン 〜インターネットクラブと卒業生の絵
*1 *2
*1
*2
.社会科全国大会とインターネット助走期(平成7年9月〜10月)
2学期になり、インターネット接続が安定してくると同時に、インフラも整ってき
た。また、11月1日に迫った「全国小学校社会科研究協議会」のときに社会科におけ
るインターネットの可能性をアピールすることを考えていき、試行錯誤の連続ではあ
ったが、今後のインターネットの教育分野での活用を探る様々な実践が重ねられた。
また、同時に進行していた横浜市立本町小学校編の出版物の原稿をホームページ上
に掲載したり、発表会での提案プレゼンテーションをホームページで行ったりするこ
とにより、学校外よりも校内の教職員へホームページという情報発信手段への意識を
高めることができた。更に、ホームページが外部向けばかりではなく、校内の子ども
たちのデータベースとしての活用も図れることが分かってきた。
学校のイベントの中にインターネットを取り入れ一般化を図る
↓ ↓
授業でインターネットを使ってみよう インターネットで見てもらおう
〜社会科全国大会のインターネット 〜原稿・提案資料のインターネット化
1)地域情報源の積極的活用(インターネット横浜市ホームページ)
横浜市立本町小学校学区内には、様々な公共機関があるが、中でも子どもたちの社
会科学習と密接な関係があるものとして、「横浜市役所」をあげることができる。3
、4年生の地域学習はもとより、5、6年生の産業・歴史等の学習においても多大な資
料があるところである。学校内にいながらにして、横浜市の最新情報をインターネッ
トを通じて入手することができる環境が整い、コンピュータ上で検索したデータを実
際に市役所に足を運んで入手することもできた。
2)学校外データベースの活用(輪中・方言情報ホームページ)
「低地に住む人々のくらし」を学習する際に、同じ100校プロジェクト参加小学校
とのメール交換による情報収集に加えて、画像データべースの活用も行った。岐阜大
学のホームページにある「輪中データベース」に子どもたちはアクセスして、そこか
ら必要な画像を取り出して表示したり印刷したりすることができた。
また、「方言」調べをする際にも、豊橋技科大学のホームページにある「日本全国
方言集」にアクセスして情報収集を行うことができた。更に、この方言調べでは、子
どもたちが図書資料や自分の知り合いから聞いた情報を豊橋技科大学に発信してペー
ジを作成してもらうことにまで発展していった。子どもたちが自ら情報発信していっ
たことになる。
3)ふれあいの輪で広がる情報収集(学校間交流&アンケート調査)
情報メディアを通した交流により、今までには考えられなかった「ふれあい」の可
能性が見えてきている。例えば、4年生では、100校プロジェクトで知り合った北海道
や新潟県の小学校とインターネットやパソコン通信での交流が始まっている。5年生
では、農業従事者やNTT勤務者など働く人々とのFAX通信やパソコン通信での交流が始
まっている。また、6年生では、全国の人々にアンケート調査を依頼し、数多くの返
事をいただくとともに、返信者の中から長期的な意見交換へと発展する可能性も見え
てきた。
4)新たな情報発信の可能性(インターネット・ホームページ)
自分たちの活動状況や作品、あるいはメッセージを日本や世界中の人々に発信する
ことのできる方法。それが「ホームページ」であろう。本町小のホームページに子ど
もたちの活動やメッセージを載せることは、学校内では活動データベースとして活用
することができ、学校外の人にとっても有用な情報を提供することができる。また、
将来、本町小ホームページには、何年間にも渡る学習の記録が公開されていることに
なるだろう。
。.インターネットの様々な活用、そして再検討期(平成7年11月〜平成8年)
2学期前半の様々なインターネット実践に加えて、ソフトウェアの充実により新た
な可能性が見えてきている。平成6年に設置した校内LANとTCP/IPの共存が可能になっ
たことにより、インターネット接続可能コンピュータの台数が増え、4〜6年の学習セ
ンターでは常時インターネット接続が可能な状況になった。また、校務室(職員室)に
もクライアントを設置することにより、インターネット接続されたコンピュータとそ
れを操作する教員を全ての教員が毎日目にする状況を作りだし、更に共通理解を深め
ていっている。
ここでは、これまでの実践をもとにした反省と考察をし、平成8年1月現在のインタ
ーネット活用状況をまとめることで、実践紹介とする。
<今後のインターネット活用に必要なことを検討し、準備する>
1.授業の中でのインターネットの位置付け
2.子どもたちの反応
導入当初の様子
↓ 特別のものという意識はなく、単にコンピュータのソフトウェアが一つ増え
↓ たという程度の認識。あまり興味をひく事象提示も行わなかったため、それ
↓ ほど利用はしていなかった。ただし、インターネットクラブの子どもたち
↓ は、自分の作品をホームページに掲載するために熱心にお絵かき活動等を
↓ 行っていた。
パソコンの操作 | WWWブラウザは英語版でも自由に使いこなしている。ネットサーフィンは4年生以上ほぼ全員が操作できる。 |
MAILはキーボード入力の障害も有り、4/5年生の一部、6年生は大多数が操作できる。 |
3.実際に活用している中での問題点
4.インターネット活用のビジョン
5.次年度以降も実践を続けたいインターネット活用例